LAB

第3回 四季蔵再生 〜The brewery wears the water jackets and changes the urban landscape.

リフォーム&コンバージョン設計アイデアコンテスト佳作受賞:TOFU+木下光+前谷吉伸

第3回は前回調べた酒蔵建築と地域の変容の考察を踏まえ、わたしたちが考える今後の酒蔵のあり方をまとめました。 四季蔵は1960年代前後、灘五郷において大量生産システムの中核施設として数多く建設されましたが、そのコンクリートは分厚く、簡単には壊せそうにありません。見た目も、いわゆる酒蔵とはかけ離れた威圧的な表情が感じられます。そんな四季蔵を魅力ある酒蔵へと改修・再生する提案です。


【CONCEPT】酒造を見せる酒蔵

LAB第2回酒蔵建築でもふれた四季蔵は1960年代前後、灘五郷において大量生産システムの中核施設として数多く建設されました。この再生計画は、断熱材と空調設備がつくる人工環境に100%依存するために、閉じて孤立してしまった本来はクリーンでエコロジカルな酒づくりを、視覚的あるいは嗅覚的に開きながら、都市の風景に溶け込ませることを求めました。酒造業で大量に使用されている水を外皮として循環させることで、マッシブなコンクリートの一部ははぎ取られ、立体的な生産工程を流動体として露出させています。この酒蔵改修はウォータージャケットによる蔵のハイブリッドな温度コントロールを可能にするだけではなく、ヒートアイランド化している周辺市街地にも都市のオアシスとして貢献するものになることでしょう。
 

【PROBLEM】四季蔵の問題点

             

 

 

 

 

 


【SITE】四季蔵の配置

酒蔵分布図

 

代表的な四季蔵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


PROPOSAL】そこで四季蔵を魅力ある酒蔵へと生まれ変わらせる3つの提案をします。

1.Glass Window and Walking Passage

仕込み、貯酒(タンク)の行われる階にGlass Window(開口)を設け、閉ざされていた酒造りを都市に開きます。

酒蔵には建築的な各階の床レベルとタンクレベルの二つの床が存在します。Water Jacket(水を通すパイプ)と既存の外壁の間にWalking Passage(作業導線)を設け、滑らかで合理的な人の流れを作ります。Glass WindowとWalking Passageによって、人の流れを含む立体的な生産工程は流動体としてWater Jacketのファサードを透かし都市に露出するでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2.Water Jacket

各工程で大量に消費する水をパイプを通して循環させます。水は外断熱材として機能し、都市と酒蔵の温度を

コントロールすることができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


3.Wood Box

かつての酒蔵の煙突からは蒸米の蒸気が立上がり、町には酒の香りがほのかに漂っていたようです。そこで、蒸気も香りも閉じ込めてしまったコンクリートの箱に2つのWood Boxを設けます。そのWood Boxからは蒸気と香りが町に放たれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【AXONOMETRIC】3つの提案をダイアグラムで表してみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【DRAWING】

Before

                                   

After