大阪の南船場に建つ6階建ての事務所ビルを一棟ごと外国人向けのゲストハウスにコンバージョンする計画です。
各関係法規に即した計画をする新築の建築確認申請とは異なり、既存の物件を現行法に適合させるという用途変更の申請が必要となるプロジェクトのため、 色々なハードルがある中での計画となりました。それに加え旅館業法と消防法が絡み合うため、役所を超えた複雑なルールの中でプランニングしなければならないやや難易度の高い計画です。
プランニングとしては、既存の設備配管を効率良く使い設備投資を最小限にする為に水廻りの位置は最上階に集約しています。各階の居室面積も各法規の関係性の中で自ずと決まっており、それをコンパクトに3部屋に分割している階とゆったり2部屋に分けている階があります。客室はベッドと畳の部屋があったり、壁面の色分けにより部屋のバリエーションを多くつくったり、個人からファミリー層まで様々なお客さんに対応出来るつくりにしています。客室をコンパクトにまとめた分、1階共用部分を飲食や団欒のラウンジスペースとして大きく開放的な場所として計画しました。ここでもコストを抑える為に過度な装飾は控え、長い木製のカウンターと中央の大きなテーブルだけを製作し、海外から来られた方がほっと一息つけるような温かみのあるラウンジの雰囲気を作り出しています。ここでは国の垣根を超えホストとゲストが或はホスト同士が色々な情報交換ができる場となっており、夜には温かみのある照明がもれ、旅行者が集まり談笑する新しい風景を南船場にもたらしています。