名古屋市にある築30年の賃貸マンションの大規模改修です。収支計算から算出された改修費用の中でいかに古いマンションを魅力的にできるかということを考えました。時間とともに古びた内外装の仕上げを変えるだけではなく、時代に即した佇まいや平面プランへとリノベーションしています。外観はグレーが主体でぼやけた印象を茶系のグラデーションに塗り分け、現代的で印象的なファサードに仕上げ、一方で共用部は真っ白に塗装することで明るく清潔感を持たせています。内装は空室だった3室がリノベーションの対象です。各室ともに細かく区切られており、使い勝手が悪かったプランから壁を取り払い、大きなリビングと収納(WIC)を確保したプランにリノベーションしています。その上で102号室には壁いっぱいにキッチンと作業台、デスクなどを兼ねた長いカウンターを作り、205、301号室には部屋の真ん中に収納とも個室ともなるようなボックスを配置しています。これらは賃貸マンションではあまり見るものではありませんが、この長いカウンターやボックスがあることで人によって部屋の使い方に変化が生まれ、ありきたりになりがちな賃貸マンションに生活の幅を持たせることができるのではないかと思います。