東住吉区の駅近くにある歴史情緒ある閑静な住宅街に建つ住宅です。2層の小ぶりな昭和の木造住宅とピロティ駐車場付きの大きな3層の建売とが混在するエリアです。そのどちらの生活スタイルとも異なり、車を必要としない現代的な都市居住者(核家族)にとっての豊かな暮らしのできる必要最低限の面積とボリュームを抑えた住宅です。
大阪における古い長屋のグリットそのままの間口と、深い奥行の敷地において、プライバシーを保ちながら狭さが気にならない広がりをいかに確保できるかが課題となりました。そこで、敷地の中心に5帖の中庭を入れることで、奥と手前に緩やかにボリュームを分けて、両ボリュームに法的な採光を入れつつ、中庭も屋内化しながら敷地いっぱいに住空間を広げるつくりにしています。
ファサード側には駐車場のかわり広めのエントランスホール兼駐輪スペースをとり、上階にリビング+ロフトと3層を階高を極端に抑えながら積み上げています。2層の奥のボリュームとは棟木を斜めにしながら高さの不均衡を抑えつつ繋げることで、一つ切妻屋根の下に高さの異なる部屋がコンパクトに入れ込み、つながる構成です。中庭とスキップフロア、斜めの棟木によって各室が繋がることで視線が方々に抜け、丁度良いボリューム感と面積以上の広がりのある空間の両立をはかっています。