大阪市中央区釣鐘町の10階建ての共同住宅です。釣鐘町は大阪平野を南北に伸びる上町台地の北端に位置しており、大阪市内の中でも地盤の良い場所です。それにより支持地盤に深さ3.5mの直接基礎で成立しています。1階は店舗、2-9階は36-42㎡の1LDKの住戸を3室レイアウトしています。建物のボリュームは10階建てで天空率により最大限取り得る面積を検討し、建物形状は道路隅切りに合わせ視認性が良い角地の好条件を生かした外観デザインを構成しています。各室には大きなFIX窓を割り当てて、バルコニーと窓だけがある既視感のある一般的なマンションとは異なる外観を目指しました。外観は縦方向に伸びるデザインで建物のボリュームを強調しつつ、外壁のレンガ調の無釉のブリックタイルと黒の塗装がこの街の落ち着いた街並みに調和しています。日本では当たり前となったバルコニーのあるマンションの外観を見直すことが美しく面白みのある街並みを作ることに貢献できる方法ではないかと思っています。
撮影/Yamada Keishiro