スズキアリーナ大阪西のショールームです。敷地は車両交通量の多い中央大通りに面しており、多くの人の目に触れるという大きな利点がありますが、以前のショールームは周辺の建物と同じく周辺の景色に埋没し、その利点を生かしきれていないように感じました。周辺の建物との差別化を図り、この道路を利用する人たちの記憶に残り、中に入ってみたいと思わせるロードサイドのランドマークとなるような建築を提案しました。敷地には中央大通りだけでなく北東に向かって細い道路が斜めに接道しています。これは周辺の建物敷地と大きく異なる敷地条件です。そこで建物の外形ラインを折り曲げ2つの道路に沿う形にすることで、建物を多面的なファサードで構成することを考えました。多面的なファサードは見る方向によって見え方が変わり、通行する人たちの記憶に残る建物となります。中央大通りに正対する形で立ち並ぶ周辺の建物の中では、多面的に構成された建物が差別化を可能とし、ショールームがランドマークとして成立します。そして、多面的な建物に三角形で切り取られたような開口を設けることで見える部分と見えない部分を作り出します。少しづつ見え隠れし、奥行きを伴う空間に人は意識を傾ける傾向があります。1Fの大きな吹き抜け空間のショールームと2F部分にあるショールームを大きく見せ、外からスズキのワクワク感や遊び心を持つ車を建物全体で見せることを意図しています。
撮影/Sasakura Yohei